| 学部・学科/研究科名 | 北海商科大学 商学学部 商学科・観光産業学科 |
| 講座名 | アントレプレナーシップ論 |
| 対象者 | 3年生 |
| 担当教員 | 堤 悦子 |
講座の目的
北海道はきわめて行政依存の高い地域である。アントレプレナーと接する機会が少なく起業になじみがない。そこで企業家を身近に感じてもらい、起業という選択肢が人生の中にあるということを大学時代に学ぶことを目的にする。そのためにすでに北海道で活躍している企業の社長を招聘し、学生は予め調べた企業について仮説を立てたうえで講座に臨み、質疑応答を通じて実証を行う。また、学生がシーズを生かしてビジネスプランをたて、資金調達のためにプレゼンテーションができるまでのプロセスをサポートすることを狙う。そこで実業界で活躍している藤巻幸夫氏を招聘し、講演してもらうほか、それまでの講義で学生が企業の社長に刺激されて作成したビジネスプランのプレゼンテーションに対してコメントやアドバイスをもらう。こうした実学に近い講義を通して起業家精神の涵養と起業への意欲を促すことを目的にする。
講座スケジュール
| 日程 | 日付 | 講座内容 |
| 平成22年9月 | 28 | アントレプレナーシーシップとは何か |
| 平成22年10月 | 5 | 株式会社アンビックスのケース |
| 12 | 『わが社の生き残り戦略―起業から今日』 アンビックス 前川 二郎 | |
| 19 | 『北海道における革新的観光産業とベンチャー』 | |
| 26 | 『収益構造ではなく収穫構造へ』 クリプトンフューチャーメディア社 | |
| 平成22年11月 | 2 | 『こころざしを持て、自分に惚れ、仕事に惚れよ。』 加森観光社長 加森 公人 |
| 9 | アントレプレナーシップと政策 | |
| 16 | 日本の中小企業支援政策史 | |
| 30 | 北海道のクラスター政策・バイオテクノロジー | |
| 平成22年12月 | 7 | アントレプレナーシップ ~我が社の経営について |
| 14 | ソーシャルアントレプレナー | |
| 平成23年1月 | 11 | 夢の実現、社会事業とビジネス |
| 18 | (1)皆で協力してつくりあげるビジネスプラン/(2)石崎岳(前総務副大臣)特別授業 | |
| 25 | (1)ビジネスプランとプレゼンテーション | |
| 平成23年2月 | 1 | 『投資家の目からみたビジネスプラン』 藤巻ジャパン 藤巻 幸夫 |
実施報告
第1回 アントレプレナーシップ論
第2回 アントレプレナーシップ論
| 講義開催日 | 平成22年10月5日 |
| 開催場所 | 北海商科大学405教室 |
| 担当教員 | 堤 悦子 |
| 講義の内容 | 初回にケースについて調べてくる宿題を出した。今回はこれを発表してもらった。大半の学生が、インターネット上からの文献検索にとどまったために同じような内容になったが一人ずつプレゼンを行わせた。さらに、同社の戦略などについて議論を行わせた。学生はほとんど、同社の施設を利用したことがない。そこで同社の顧客ターゲットについて推測をし、質問の仕方について、教えた。すなわち、ただ興味本位でする質問ではなく、ケースとして調べたがわからなかったという経緯を、なぜそうした質問が発生したのか、自身の研究あるいは実際上の必要性を披歴した上で質問をするという手法を教授した。 |
| 担当教員所感 | この段階で履修登録者の半分が欠席した。(おそらく宿題をしてこなかったためだと思われる。)バイグレイブ教授は学部の学生に対して、起業の講義をされているわけだが、本学においてはそれ以前の課題が多い。特に私の授業は、眠っていられない。回ってあててゆくので、学生は慣れていない。もともと午前の授業は履修者自身が少ないなど、本学の問題点が浮き彫りになっている。もっとも10人の学生は、きちんと宿題をこなし、それなりに質問事項も考えてきたので、これらを大切に育てなければいけないと感じた。 |
| 使用教材等 | 株式会社アンビックスのケース |
第3回 『わが社の生き残り戦略 - 起業から今日』ケース (株)アンビックス
第4回 『北海道における革新的観光産業とベンチャー』
第5回 『収益構造ではなく収穫構造へ』
第6回 『こころざしを持て、自分に惚れ、仕事に惚れよ。』
第7回 アントレプレナーシップと政策
| 講義開催日 | 2010年11月9日10:10-12:00 |
| 開催場所 | 北海商科大学 |
| 担当教員 | 堤悦子 |
| 講義の内容 | 今回は、招聘した社長の企業について復習を行った。まず、アンビックスの社長は、東京に出て就職後にオイルショックの影響で、期せずして起業するはめになった。経緯はともかく、社会の経済状況をみきわめて事業を発展させていく様について、もう一度復習した。フューチャー・クリプトンメディアの社長も、地元に根差してグローバルな展開を見せる大胆さを秘めていることについて言及。加森観光についても然りであり、時機をみて世界をまたにかけて、事業展開している点を復習した。日本の企業家は、Exitという風土がないため、事業を継続してゆくことが通常だと捉えられている。そうなると一見多角化しているようにみえる、といった態様について、アメリカにおけるスタートアップか⇒成長⇒売却という場合との違いについて解説した。 |
| 担当教員所感 | 学生には感想文を書かせたが、加森観光について感動はしたものの、アントレプレナーになることは、未だ選択肢になっていない。不思議なことに特に今年の学生は、キャンパスベンチャーグランプリに応募する数も少ない状況にある。大学教育は、懇切丁寧に水飲み場まで学生を連れて行って、水を飲ませよという方向にあり、自立心はなかなか養えない。これは少子化の現状に対応していると考えられる。しかし、これでは国の競争優位がおぼつかないのではないかということが懸念される。もっとも伊藤氏の講演時には、満杯になるほどの若者が集まった。若者も全くやる気がないわけではなく、興味があることには熱心である。従って、新しいかたちのアントレプレナーを想定して、気長に学生に潜在するであろうアントレプレヌリアルなマインドを少しでも刺激することを目指していきたい。 |
| 使用教材等 | 『日本中小企業政策史』清成忠男著(有斐閣) 「加森観光」のケース『ホッカイドリームソーダ』(北海道新聞社) 「加森グループのあゆみ」(加森観光株式会社)加森社長より提供 |
第8回 日本の中小企業政策史
第9回 北海道のクラスター政策・バイオテクノロジー
| 講義開催日 | 2010年11月30日 10:10-12:00 |
| 開催場所 | 北海商科大学 405番 |
| 担当教員 | 堤悦子 |
| 講義の内容 | 二重構造論について、有澤、清成、経済白書の立場などを復習し、日本の産業政策について解説を行った。さらに日本のクラスター政策の歴史的背景、予算規模、日・米・独のクラスターの生成過程と政策の違いについて講義した。質問者とのやり取りで、バイオベンチャーの生成について説明した。コーエン・ボイヤー特許は何度か解説したことがあるが、特許コーディネーターが知財を発展させたという観点から言及することとなった。さらにアミノアップについて検討した。同社は、北海道が認定する二つのスーパークラスターのうちのバイオ企業の代表格である。小砂青年のチャレンジ精神からはじまり、ドメインを変遷させながら着実に成長を遂げてきた。そのマネジメントと社会的起業家性について言及した。(同社については、すでに上記の資料を配布し、企業について調べて提出させている。難しいと悲鳴をあげる学生もいたので丁寧に解説した。) |
| 担当教員所感 | 数日前を期限にして、アミノアップ化学に関するレポートを提出させた。インターネットにおける会社概要の参照以外は、配布した資料が学生にとっての唯一の資料だった模様。機能性食品を扱う同社は、学生にとってなじみはないようだ。しかし講義をするうちに徐々に理解を深め、興味を持ったように感じられた。最終的には、かなりポイントをついた質問ができるようになった。従って来週は、学生が良い講義になるような質問をすると期待される。バイオ企業に潜在する問題点(なじみが浅いゆえに一般の支持が得られない)を研究者として再認識したことは自身の研究の副産物ともなった。 |
| 使用教材等 | 『北海道企業ファイル』(北海道新聞)p.224 『北海道の企業1』(小川正博、森永文彦、佐藤郁夫著、北海道大学出版会、2005年)第8章「アミノアップ化学」p.205-223(玉井) |
第10回 アントレプレナーシップ ~我が社の経営について
| 講義開催日 | 2010年12月7日 10:10-12:00 |
| 開催場所 | 北海商科大学 405番 |
| 担当教員 | 株式会社アミノアップ化学 会長 小砂憲一氏 |
| 講義の内容 | 小砂会長は、自身が開発した農業飼料が草木を活性化させる作用があるということに気がつき、起業。当初主力商品のAHCCは売れず、大変な時期もあった。紫蘇エキスがブームに乗って爆発的に売れてから、AHCCも抗ガン効果があることが話題になって会社は急成長した。しかしいつも自身を戒め、身の丈にあった経営をしている。同社の強みは知財(製造/用途/物質)さらに周辺特許、製法特許で固め、常に海外を視野に入れて事業を展開している。例えば肝臓癌はタイが多い。タイ独自の治験と大学で研究を進め、マーケット拡大をねらう。中国では喉頭癌、と国際市場を鳥瞰し共同研究を厭わない。社員にも国際感覚を身につけてもらう為、社内研究、海外研修に力を入れている。そして社会にとって必要な企業で有り続けるために、社会奉仕することを義務づけている(実際社員が社会奉仕を通して学んでくることも多い)。北海道は可能性を秘めているのであり学生は、牽引役になれ! |
| 担当教員所感 | 北海道ではバイオおよびITをスーパークラスターとして推進。 現在は、食クラスターとしてAll北海道体制。小砂氏はそのトップである。バイオ企業でありながら、きわめてわかりやすい講義をしていただいた。さらに様々な大学で講演をしているが、学生の真摯さに感心したとお褒めの言葉をいただいた。救われた気がした。身の丈にあった会社ということばには目から鱗。 |
| 使用教材等 | 「会社概要」アミノアップ化学 ビデオ(各界インタビュー等記事編集)アミノアップ作成 |
第11回 ソーシャルアントレプレナー
第12回 夢の実現、社会事業とビジネス
第13回 (1)皆で協力してつくりあげるビジネスプラン/(2)石崎岳(前総務副大臣)特別授業
第14回 (1)ビジネスプランとプレゼンテーション
第15回 (1)藤巻幸夫講演 &プレゼンテーション発表会
今後の講座実施に向けた示唆
| 今年度の成果・反省点 | アントレプレナーシップ論の今年度の講義は、コンサルタントの藤巻幸夫氏を迎えて、聴衆には講師にも招聘した加森観光の加森公人社長がいるという豪華版で、盛況のうちに2月1日に終了した。 最終回は、VCへのプレゼンテーションを予定していたが、藤巻氏が来道を快諾されたため、急遽藤巻氏に対するプレゼンテーションになった。これは、同氏の本を読んだり、マーケティングを学ぶ学生にとっては垂涎の授業だといえるのだ(北海学園大学からの聴講希望者の弁)が、本学では直前まで、なかなか盛り上がる気配を見せなかった。しかし杞憂することなかれ、藤巻氏の熱弁と、加森氏の質問やトークのおかげで、学生は随分刺激されたようである。優れた講師に任せればうまくいく。 最終的には、全員がプレゼンテーションを披露する時間がなかったが、嫌々参加の学生達が、堤だけにでも見てほしいと後からやってきたことは期待以上の成果だった。さらにそうした学生達が、ゼミの教師に報告したため、一部の先生方にも波及効果をもたらしたようである。実学を学ぶ商科系の大学にとってよい刺激になったと思われる。昨年の受講者であり、今年途中から参加してきたS君をはじめ、起業を志す学生が生じたことも成果である。 さらに、今まで、学部の学生の起業は支援していなかった札幌市経済局が、5人もの職員を派遣して聴講に来られた。これも成果といえる。反省点:北海道の活性化のために、北海道における実業家の方々が、手弁当で講義してくださるのだから、効果的な広報を行い、より多くの学生に聴講してもらえばよかったと反省している。なお大学の教員が孤軍奮闘する形で、実業界の著名人を招聘することは限界がある。 |
| 来年度に向けての展望等 | 北海道は経済が低迷し、しかしながらあまり危機感がないという、不思議な地域である。従って、アドバイザリーボードから『北海道の』企業家の招聘ではどうかという助言されたことは、きわめて的確だった。北海道をよく知っている地元の著名な企業家が学生に語りかけてくださったおかげで、講座は大変有意義なものとなった。特に、アミノアップ化学の小砂会長は、北海道では失敗が許される、起業しやすい土地柄であるという地域の優位性を力説されたが、同感である。 札幌市経済局は、寄付講座を本学に設けることを示唆していただいたが、本学側は受け入れ体制をとらない様子が窺える。これだけ盛り上がったのだからと、北海道経済産業局も、この講座を敷衍した社会人を含めた講演会の企画に積極的である。大学自体の体制を突く点から言えば、同じ商科系の著名な大学人の起業講座(恩師米倉誠一郎、関満博)を、北海道で講義していただいて、本州の大学教育を披瀝してもらえれば広がりができるだろう。次回があれば、そうしたい。もともと私は潜在的な企業家の起業の意思決定と属性やリスク認識との関係について、実証的な研究をしている。日本に特有な起業に関するマインドの調査に研究助成して頂ければ幸いです。 |












































