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フェリス女学院大学 『他者との共生(社会的起業と女性)』

学部・学科/研究科名 フェリス女学院大学 国際交流学部 基礎教養・総合課題科目
講座名 他者との共生(社会的起業と女性)
対象者 全学部・全学科
担当教員 春木良且

講座の目的

本学は、キリスト教教育に根ざした文科系女子大であり、「他者のために・For Others」という校是(モットー)を持っている。本講座では、その校是の実践として、社会的問題の解決を事業とする社会企業の起業「社会的起業」を取り上げ、特に「女性」による起業をテーマとする。本講座は、20名程度の履修者制限科目として運営し、演習とフィードバックの形態で運営する。講義からケース分析、演習という段階で構成する。具体的な事業の創出や起業そのものよりも、学生達が、社会的問題を認識する視点を持ち、自らのものとしてその解決を導き出すような「ビジネスモデル」を創造する点に主眼を置く。具体的には、事業のグランドデザインを作成しプレゼンテーションを行うことをゴールとする。

講座スケジュール

日程 日付 講座内容
平成22年9月 24 導入と基本認識
平成22年10月 1 アントレプレナーシップとは
8 経営学概論・戦略性の理解
15 企業と社会
22 社会的問題の認識と分析(演習1)
29 ビジネスモデルとドメイン
平成22年11月 12 事業の骨格作り・社会問題を解決するモデル (演習2)
19 社会的起業を知ろう(ケース分析)
26 起業の支援・支援する側から見た起業
平成22年12月 3 女性起業家に聞く(女性のアントレプレナーシップ)
10 ここまでのまとめと議論・公開授業
17 シーズとニーズ(ケース分析)
平成23年1月 14 こういう会社がスタートするには
平成23年2月 3 事業計画の作成・起業か事業化か(演習)

実施報告

第1回 「導入と基本認識」 - 社会的起業概論 -

講義開催日 2010年9月24日
開催場所 本学緑園校舎2号館
担当教員 春木良且
講義の内容 導入と基本認識(社会的起業概論)
社会的起業(あるいは社会起業)とは
政策側から見た社会企業
 社会企業(ソーシャル・ビジネス)の政策的意義
 コミュニティ・ビジネス
 ビジネスモデルとしての「マイクロファイナンス」
経済的な観点から見れば
 ソーシャルエコノミー
社会企業の現状
社会的起業の背景と意義
社会問題
 社会問題の特徴
 社会的弱者(socially vulnerable)
新しい社会運動としての起業
 社会運動(social movement)とは
担当教員所感 一般に学期開始時の初回授業は、参加者が少ないことが多く、本授業でも、初回参加者は少なかった。授業の目標から考えると、本学の授業としては15回でも余裕は無いため、初回から本質的な問題、すなわち社会的起業の最も重要な基礎となる「社会問題」に関して取り上げ、ワークを課題として出題した。
使用教材等 「社会的起業と女性・導入と基本認識」 - 社会企業を知る - 講師作成
教材・配布資料、その他 社会的起業と女性.pdf
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第2回 アントレプレナーシップとは

講義開催日 2010年10月2日
開催場所 本学緑園校舎8号館
担当教員 高嶋成豪(本学講師)
講義の内容 1.起業一般の考え方
2.いくつかの起業の事例
3.フェリス女学院の創立に関して
担当教員所感 ゲスト講師は、本学でキャリア系科目を担当している。その関係で、本学の創立者について触れ、学生たちの興味関心を上手く引き出したと思われる。
自分のキャリアと関連付けた意見や質問が多かったのは、大変興味深かった。
使用教材等 「女性のアントレプレナーシップ」 講師作成
教材・配布資料、その他 002

第3回 経営学概論・戦略性の理解

講義開催日 2010年10月8日
開催場所 本学緑園校舎8号館
担当教員 春木良且
講義の内容 ○経営資源と経営環境
 ・経営環境の変化
○「管理」による経営と「戦略」による経営
○PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)
 ・製品のライフサイクル
 ・経験曲線
○経営戦略
○戦略と戦術
○競争優位
○競争戦略 (Competitive Strategy)
○コア・コンピタンス(core competence)
○ブルー・オーシャン戦略(Blue Ocean Strategy)
○ビジネス・モデル(business method)
 ・現代の社会変化を見るための視点
担当教員所感 本学は文学、芸術系学部から構成されているため、履修者の多くが企業論や経営学に関する素養が無いため、経営学そのものを概観する回を設けた。社会起業は、旧来の選択と集中というよりは、新たな市場を作り出すいわゆるブルー・オーシャン的な側面を持つということを強調した。
使用教材等 経営学を知ろう 講師作成
教材・配布資料、その他 経営学概論配布.pdf
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第4回 企業と社会 「ザ・ボディショップの取り組み」

講義開催日 2010年10月15日
開催場所 本学緑園校舎8号館
担当教員・講師名 藤田紀久子氏(THE BODY SHOP・株式会社イオンフォレスト)
講義の内容 社会に対する問題提起、情報発信で知られる、最も成功した社会的起業のひとつ、「ザ・ボディショップ(株式会社イオンフォレスト)」で、長年CSRを担当されている藤田紀久子氏に、同社のビジネスやその活動に関して概括していただいた。
同社は創業者アニタ・ロディック氏の高い問題意識によって知られる企業であり、「企業には社会をよくする力がある・Businesses have the power to do good」という言葉は、社会企業のありかたを示す、重要なキーワードである。
また講師藤田氏のように、起業だけではなく、既存企業の事業として社会問題に取り組むことの可能性も示していただいた。
担当教員所感 女子学生にとって非常に馴染みのある同社が、実は高い意識をもって社会問題と向き合っているということは、学生たちに大きなインパクトを与えたと感じている。
かつて筆者は、「化粧品の動物実験」の実態調査と反対運動に関わっていた折に、同社と懇意にさせていただき、社会に存在する様々な弱者を独自な視点で浮かび上がらせ、社会に問題提起をするという同社のあり方を高く評価していた。
今回、その創業時に、創業者が世界各国の民族的な美容、健康法などを集め製品化をしていったという点、すなわち新たな製品やビジネスモデルを作りながら、世界の少数弱者への視点を熟成させて行ったという同社の経緯が、大変に興味深いところだったと感じている。
使用教材等 ザ・ボディショップの取り組み(講師作成)
教材・配布資料、その他 photo

第5回 社会的問題の認識と分析 (演習1)

講義開催日 2010年10月22日
開催場所 本学緑園校舎8号館
担当教員・講師名 春木良且
講義の内容 鳩山前総理大臣による「新しい公共」をテーマに、社会的企業への公的な期待や役割に関して取り上げた。
それに関連して、鳩山氏の有名なツィート「「新しい公共」が一人歩きを始めました。こんなに嬉しいことはありません。私に「裸踊り」をさせて下さったみなさん、有り難うございました。その私に続いて「裸踊り」をしようと立ち上がって下さったみなさん、有り難う。この伝播力が必ず社会を大きく動かすでしょう。」で触れられている、「裸踊り」について、TEDでのDerek Siversのスピーチ「How to start a movement」を元に議論し、アントレプレナーシップについて再考した。kouginaiyou
さらに映画「Pay it forward・可能の王国」を例に、ビジネスモデルについて議論した。
さらに映画「ダーウィンの悪夢」と「ビクトリア湖の蚊帳」の2つの事例を用いて、「他者」の価値観や文化を、自らの価値観で判断することの危険性や問題点について議論した。
担当教員所感 ここまで座学が続いたので、多くの動画や画像などを用いて、学生達に知識に対する具体的なイメージを付けてもらった。他校の起業系の授業でも使われていると聞くが、裸踊りの動画などは、学生の大きな関心を呼んだ。
次回以降、各々のアイディアをグループで議論してもらうことを考えているが、いいアイスブレークになったと思っている。
使用教材等 「新しい公共」とアントレプレナーシップ
教材・配布資料、その他 kougi

第6回 ビジネスモデルとドメイン

講義開催日 2010年10月29日
開催場所 本学緑園校舎8号館
担当教員・講師名 春木良且
講義の内容 ビジネスモデルの概念、特に、価値連鎖や参入障壁、さらにビジネスドメィンを理解するために、経営学における古典的な事例である「アメリカン航空」の座席予約システム「Saber」を取り上げた。
さらに本事例を元に、グループワークとして各自のビジネスプランの洗練を行った。
担当教員所感 講師は、情報技術論「本学:情報科学B1」でも、「アメリカン航空」の座席予約システム「Saber」を取り上げている。本事例は、競争戦略からIT、情報システムまで、幅広く考えることが出来る、好事例だと考えている。
本授業では、社会問題の解決を目指したビジネスモデルを導出することを目標とするが、関与者が全て「損」をしない価値連鎖構造は、社会的企業を考える上で重要だと考えている。特定の誰かの利益が、誰かの損になるとするならば、それは決して優れたビジネスモデルではないという点を強調した。
教材・配布資料、その他 006

第7回 事業の骨格作り・社会問題を解決するモデル

講義開催日 2010年11月12日
開催場所 本学緑園校舎8号館
担当教員・講師名 春木良且
講義の内容 前回の講義を元に、学生(国際交流学部3年)の考えたビジネスプラン「旅ボラ」について発表してもらい、その評価、議論を行った。
さらにその後、社会問題、社会的弱者の領域、種類に基づき、3つのグループを作って、個々のビジネスプランについて議論しながら、各自その詳細化を行ってもらった。
担当教員所感 学生による企業案を議論事例として取り上げたことで、学生たちが起業を自分の身近なものとして考えることを期待した。
また、一般に教室でプレゼンテーションを行うことには、学生たちは抵抗があるようであるが、5人強の小さなグループでは自由に議論が進んだようである。本授業回では、受講生が問題意識を共有することで、様々なイノベーションが起こることを期待した。
使用教材等 ワークシート・講師作成
「旅をしながらボランティア・事業企画案」・学生作成
教材・配布資料、その他 007

第8回 社会的起業を知ろう(ケース分析)

講義開催日 2010年11月19日
開催場所 本学緑園校舎8号館
担当教員・講師名 春木良且
講義の内容 社会的企業の事例研究として、ホームレス支援の「Big Issue」と、京都の大学生が起業した、バリアフリー旅行社「楽楽」の2社を取り上げ、各々のビジネスモデルと対象とする社会問題に関して議論した。
さらにそれを受けて、各々が問題意識を持っている社会問題に関して共有し、グループを再構成した。
担当教員所感 「Big Issue」は、多くの学生が路上で販売しているホームレスを見かけてはいたようだが、その実体は殆ど知られていないようである。ホームレスという「弱者」に対して金銭を与えるのではなく、仕事を生み出すことによって支援をするモデルは、多くの学生がインスパイアされたようである。
またバリアフリー旅行社「楽楽」は、身障者支援に関しては正攻法の手法ではあるが、受講生と同じ大学生が創業したという点で、学生のアントレプレナーシップを刺激した。
さらに、各々のビジネスプランの対象を明らかにすることで、より具体的な議論ができることを期待した。以降、同じような問題意識を持った学生によってグループを作り、ワークとして各自のビジネスプランの洗練を行うことにする。
使用教材等 事例3:「Big Issue」のビジネスモデル
事例4:バリアフリー旅行社「楽楽」
教材・配布資料、その他 ferris08

第9回 起業の支援・支援する側から見た起業

講義開催日 2010年11月26日
開催場所 本学緑園校舎7号館
担当教員・講師名 TSUNAMIネットワークパートナーズ 呉雅俊氏
講義の内容 本講座では、科目の趣旨として、実際に起業をするための詳細な知識を与えるのではなく、社会問題を認識し、それに対してビジネスのロジックを用いながら解決するという、社会起業にフォーカスを当てている。そのため、起業にまつわる財務の部分に関しては、ほとんど触れていない。
この回では、起業家ネットワークからのご紹介で、いわゆるベンチャーキャピタル側から、起業の支援に関する実際についてレクチャーをしていただき、さらに講師が所属される企業の業務と経験に関してもお話いただいた。本学には財務に関する科目が無いため、講師の方には、ごく初歩的なところからお話いただいた。
担当教員所感 現実に起業を考える場合、財務は大きな要素であり、決して無視することは出来ない。しかし、それらが授業内で大きな内容を占めることで、学生たちのモチベーションが低下することも懸念される。
今回は実務家の観点から、手際よく全体を概観していただいた。
さらに講師の方自らが、かつて現在は誰もが知る大企業となっている会社をお仲間と興された後、スピンアウトされて現在のベンチャー支援の企業を興されたという経験をお持ちなので、支援される側、する側をよくご存知であり、さらに自らのアントレプレナーシップ観をもお話しいただけたので、学生にはいい刺激になったと思われる。
ただし、外部講師を依頼するにあたっては、前もって学校や授業の雰囲気などを知っていただいた上でご講義いただくのが、授業の運営においてはベターだとは思うが、時間的な問題から。現実的には難しいかもしれない。
使用教材等 講師作成
教材・配布資料、その他 ferris09

第10回 女性起業家に聞く・女性のアントレプレナーシップ

講義開催日 2010年12月03日
開催場所 本学緑園校舎7号館
担当教員・講師名 石黒不二代氏(ネットイヤーグループ株式会社)
講義の内容 ハイテクベンチャー企業の創業者である講師の経験を元に、現在のIT環境やシリコンバレー、アメリカにおけるベンチャーの動向を扱っていただいた。
後半ではさらに、ご自身の留学から起業に至る経験を取り上げ、アントレプレナーシップを考える内容となった。
担当教員所感 学生の希望もあり、若干講義の趣旨とは異なるが、著名人である同氏にご講義をお願いした。成功されている女性起業家に、ご経験を話ししていただく回だったが、起業というレベルにおいては、ジェンダーによる違いは余り存在しないという、当然且つ重要なことを確認した。
石黒氏のご経験では、子供がいるということも、留学や起業をするにおいてのエネルギーになりこそすれ、障壁とはならないという点が、女性のアントレプレナーシップを考える上で、重要なポイントだったと思われる。
使用教材等 起業はリスクの少ない職業である(講師作成)
副読本:言われた仕事はやるな! (朝日新書)石黒 不二代 (著)
教材・配布資料、その他 ferri10

第11回 ここまでのまとめ・公開授業

講義開催日 2010年12月10日
開催場所 本学緑園校舎7号館
担当教員・講師名 春木良且
講義の内容 公開授業ということで、ここまでの授業で取り上げてきたことを、特に要点を指摘した。
それを受けて、学生のグループによる、起業案(授業時では、社会問題の指摘とその解決案)を2つプレゼンテーションしてもらい、各々の問題点や特徴などについて議論を行った。
担当教員所感 教員になって、通常授業に見学者を呼ぶのは初めての経験であり、どういう内容で授業を行うべきか若干戸惑った。本授業は、女性と社会的起業の2つのキーワードで実施しているため、他の起業系授業と異なる点も多々あると思われるところから、まとめの回としたが、結果として、学生たちの知識合わせや授業内容の確認となったと思う。
また外部の見学者がいることで、適度な緊張感が生まれ、各チームの起業案も中々優れたものとなったのではと思われる。
使用教材等 社会的起業と女性 -ここまでのまとめ-
教材・配布資料、その他 feris11

第12回 シーズとニーズ(ケース分析) 事例5:「おてつだいネットワークス」のモデル

講義開催日 2010年12月17日
開催場所 本学緑園校舎7号館
担当教員・講師名 砂川大氏 (株式会社ロケーションバリュー)
講義の内容 GPSを使ったビジネスを展開している株式会社ロケーションバリューの創業者である砂川大氏に、同社の2つのビジネスである「おてつだいネットワークス」と「イマナラ」のビジネスモデルを解説していただいた。
さらに同氏の起業までの経験とこれからの事業展望について、学生の質問に答える形で、答えていただいた。
担当教員所感 同社は、携帯とWebを用いたサービスを提供する、いわゆるベンチャー企業であり、講師もおっしゃるように、本講で扱っている社会的企業の範疇には含まれないかもしれない。
しかし携帯GPSを中心的なリソースとした同社のシステムは、学生やアルバイター達の断片的な時間を、GPSを用いて集約することで、特に接客など店舗の抱える労働力の慢性的な不足に対して、画期的な解決を与えている。その意味では、市場の抱えるニーズを追求すると、社会性を帯びていくと言うことの一つの実例でもあると言える。
同社に注目するのは、GPSというシーズと、サービス業の慢性的な人手不足(あるいはミスマッチ)というニーズの両面から考え抜かれた、誰もが理解できるビジネスモデルを創りあげた点にある。同様に、店舗と消費者との関係に着目した「イマナラ」もシーズとニーズの分析事例として画期的であり、「グルーポン」等との比較でも理解し易かった。
授業後の学生アンケートでは、ここまでの事例の中で最も学生への訴求が高かったようであり、ビジネスモデルに関する理解にも効果的だったと言える。
使用教材等 「おてつだいネットワークス」と「イマナラ」
教材・配布資料、その他 012_photo

第13回 こういう会社がスタートするには

講義開催日 2011年1月14日
開催場所 本学緑園校舎7号館
担当教員・講師名 河邊 久美子氏(Suneri・起業準備中)
講義の内容 現在、カンボジアの農村で野蚕(エリ蚕)を用いたシルク製造を行うことで、現地に収入をもたらし、農村部と都市部の貧富の差や農村女性の自立を目指した事業に取り掛かっている講師に、ここまでの経緯やビジネスプラン、さらに今後の課題などを話していただいた。
カンボジアは内乱や独裁政権の影響で、国内産業がほぼ崩壊しており、その中でも農村部の貧困が激しいということ、さらに農薬などによる環境破壊や健康被害なども甚大であることなど、国際社会や政治の領域にもまつわる大きな社会問題を抱えている。しかしそれに対して、民間個人からのアプローチも決して不可能ではないということが重要なテーマであった。
担当教員所感 貧困など問題を抱えた弱者に対して、単純に支援をするのではなく、産業を興して収入の途を造るという、ビッグイッシューなどと同様の、優れたビジネスモデルであると思われる。前述のように、国際社会に纏わるような大きな問題であっても、その解決に向けたアプローチは決して不可能ではないということは、学生にとって大きな刺激であったであろう。ともすればごく身近な、政治や経済など「公」の領域から離れたニッチな部分だけを社会的起業の対象として考えがちでにはなるが、そういった先入観的な部分を打ち砕くきっかけになると思う。
また講師河邊氏は、世代的に学生と余り変わらない女性であり、その意味で学生たちには、アントレプレナーシップの一つの例としても有効ではなかったかと考える。
教材・配布資料、その他 013

第14回 事業計画の作成・起業か事業化か(演習)

講義開催日 2011年2月3日
開催場所 本学緑園校舎7号館
担当教員・講師名 春木 良且
講義の内容 ここまでの講義、演習で行ってきたプロセスを踏まえて、最終的なビジネスプランの全体構想を煮詰める作業を行った。今回は学生同士で自由に議論し、作業をしてもらい、最後に簡単なプレゼンテーションをしてもらった。
大まかな演習プロセスは以下の通りである。
(1)解決すべき「(社会)問題」の認識
(2)解決策の「モデル化」
(3)ビジネスモデルとしてのブラッシュアップ(競争優位の実現)
コンペチターの明確化(コア・コンピタンス)
競争空間の認識(ブルーオーシャンとか)
(4)ビジネスのグランド・デザイン(全体構想)の作成
特に最終的な課題として、そのビジネスプランを実現するために最も近いところにいる企業を明らかにし、たとえばその企業が新たに事業として行うことと、ゼロから起業することの特質を比較するという内容を与えた。これによって、既存のビジネスによっても、最終的な目標である社会問題の解決の可能性を持つことを意識してもらうことを意図した。
担当教員所感 講義を通して、学生同士が友人となり共同してプランを作成するなど、様々な人間関係も広がってきたように見える。こうした演習系の授業では、自分の意見や価値観、プランなどを如何に開示し、多くの意見や評価などを通してそのブラッシュアップを行うかに留意する必要があると感じた。
本学は元々少人数教育を標榜してはいるが、そのメリットは主に語学教育に生かされており、その他の基礎教養科目でも享受できているかといえば、若干の疑問を感じざるを得ない。今まで本学にはなかった起業をテーマにした本授業を通して、学生たちにも新たな社会での可能性を感じることができたのではないかと思うが、教える側にも、より多くの経験やノウハウが必用であろう。
尚、次回は最終プレゼンテーションの予定であったが、ビジネスプランコンテストとして大学祭などの機会に実施するといった案もあり、学生の希望もあって今回と同様の作業を行い、ビジネスプラン(レポート)の提出を行うこととした。
使用教材等 社会的起業と女性・ワークシート (講師作成)
教材・配布資料、その他 014

今後の講座実施に向けた示唆

今年度の成果・反省点  新規領域で新しい授業を開講するには多くの準備期間と予算を必要とする。本学だけではないだろうが、授業全体に対する専任教員の比率なども厳しく管理されており、限られたリソースで新しい授業を開講できるオムニバス形式の授業はいろいろな意味で有効である。
 しかし、講師のレベルの保障や人選など多くの留意点もあり、実際の開講では苦労することが多い。今回、ネットワーク側からの紹介で何人かの実務家に講義をしていただく機会を得られたのは、大きな収穫ではあった。しかし、本学固有の事情や学生のレベル、授業のゴールなど、より時間を掛けて伝える必要があったと思われる。
来年度に向けての展望等  本学は、人文、芸術系3学部からなる文科系女子大であり、専門科目としては社会科学系、特に経営系の科目は用意されていない。しかし昨今では殆どの学生が、卒業後に企業への就職を希望する。さらに、かつてのように大企業の一般職を中心としたいわゆる安定志向の就職だけではなく、学生たちの社会との関わり方も多様化してきている。
 それを受けて、人文・芸術系の本学でも、企業社会のさまざまな側面に関しても教育する必要があり、数年前から本学でも基礎教養科目中にキャリア系科目を開設し、さらに経営学や企業論などを新規に開講してきた。
 しかし起業に関しては、まだ開講経験が無く、実際学生のニーズの有無も明確ではない状態であった。そのため、起業そのものよりも、本学の校是(モットー)である「For Others・他者のために」に基づいた、社会的起業をテーマとして開講した。そのため比較的幅広い学生の履修があったが、逆に起業そのものに対するモチベーションが低い学生も含まれていた。
 そういった履修者の特性を反映してか、事業やビジネスモデルを創造することよりも、社会問題そのものやその背景、さらに既存の企業や事業と社会との関わり、CSRなどに関心を持つ学生も多かったように思われる。
 次年度以降も、社会的起業をテーマに、学生たちの幅広い興味、関心を喚起して行きたいと考える。