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起業家教育の現状(H20年度版)

(出所)平成20年度大学・大学院における起業家教育実態調査

1.アンケート調査の概要

日本の起業家教育の実相を把握するべく、アンケート調査を行った。送付先は、全国の大学・大学院の教務部(734校)と、日本ベンチャー学会会員の大学教員(約300名)である。教務部と日本ベンチャー学会双方に送ったのは、網羅性を重視したためである。

実施期間:平成20 年7 月23 日~10 月15 日
アンケート方法:インターネットによる回答
構成:「大学・大学院編」および「科目編」(ともに10 問程度)ただし、「科目編」は科目数だけ繰り返し回答する、とした。

国立大学と、起業家教育の存在を事前に把握していた公立・私立大学に対しては、重点的に回答を要請した。有効回答率は73.0%で、536 校から回答があった。特に、国立大の回答率は92.7%と比較的高くなった(図表1)。

【図表1】回答率(単位:校数、%)

No カテゴリー名 配布数 回数数 回答率
1 国立  82 76 92.7
2 公立 73 61 83.6
3 私立 579 399 68.9
  無回答 - 0 0.0
  全体 734 536 73.0

2.起業家教育実施校数と先行調査との比較

【図表2】起業家教育の実施校数
enq_01

今回のアンケート結果、全国の大学の46.1%にあたる247 校に起業家教育の講座があった(図表2)。
過去の調査実績として、文部科学省と筑波大学がそれぞれ調査したデータがある(図表3)。
ただし、筑波大学調査では、同じ大学の学部と大学院双方に起業家教育の授業がある場合、2 校とカウントしている。
今回の調査結果(2008 年度)と文部科学省調査との比較では、2001 年度の42.0%増に達している。一方、筑波大学調査との比較では、2001 年度の約3 倍に増加している。データに大きな開きはあるが、2000 年代初頭と比較して、起業家教育を実施している大学・大学院が大きく増加していると推測される。

【図表3】起業家教育のある大学・大学院数
過去調査との比較 (単位:校数)

enq_02

2008年は今回の調査結果。(a)出典は「大学における教育内容等の改革状況について」。
(b)の出典は、「大学等発ベンチャーの課題と推進方策に関する調査研究」。

3.実施校数の内訳

【図表4】実施校数の内訳(単位:校数、%)

  総数 講座の有無
大学のみ 大学院のみ 両方あり 講義 (科目)なし 無回答
総数 536
100.0
121
22.6
48
9.0
78
14.6
289
53.9
0
0.0
大学
種別

76
100.0
7
9.2
24
31.6
22
28.9
23
30.3
0
0.0

61
100.0
6
9.8
3
4.9
6
9.8
46
75.4
0
0.0

399
100.0
108
27.1
21
5.3
50
12.5
220
55.1
0
0.0

回答
0
0.0
0
0.0
0
0.0
0
0.0
0
0.0
0
0.0

実施校数247 校の内訳を見ると、国立は「大学院のみ」と「両方あり」の割合が高く、私立は「学部のみ」での教育の割合が高い。(図表4)。原データに遡ると、国立の大学院ではMOT(技術経営)の授業が「起業家教育」に位置づけられている場合が多いことが要因として挙げられる。

4.起業家教育を目的としたコース・専攻

【図表5】起業家教育を目的としたコース数(単位:校)

学部 有効回答数 コース設置校数 同比率
全国 536 32 6.0%
国立 76 2 2.6%
公立 61 3 4.9%
私立 399 27 6.8%

大学院 有効回答数 コース設置校数 同比率
全国 536 33 6.2%
国立 76 9 11.8%
公立 61 2 3.3%
私立 399 22 5.5%

大学32 校、大学院33 校、重複を省くと58 校(有効回答数全体の10.8%)に起業家教育を目的としたコース・専攻がある(図表5)。具体的なコース・専攻については、図表19 を参照。

5.起業家教育に関連したイベント・プログラム

起業家教育に関連して行われるイベント・プログラムについては以下のような結果が得られた。実数で103 校、全体の2 割弱が起業家教育に関連したプログラムやイベントを開催している。

【図表6】起業に関連したイベント・プログラムのある大学の割合<N=536>
enq_031

【図表7】起業家教育に関連したプログラムやイベントの内訳<N=536>、(単位:校)enq_04

なお、他にも、クロス集計の結果、学部と大学院の双方に講座を設置している学校においてイベントやプログラムを設置している場合が多いことがわかった。起業家教育に積極的な大学とそうでない大学との差が大きい。

6.科目数

科目数では学部では200 校に計523 科目、大学院では126 校で405 科目あった。計928 科目である。前述の文部科学省調査によれば、2001 年度の405 科目であり、今回調査(2008 年度)では約2 倍に増加した(図表8)。

【図表8】起業家教育科目数の推移(単位:科目)enq_04

【図表9】科目数の内訳(学部)<N=523>(単位:科目)enq_06

大学講座 有効回答数 講座設置校 講座数 1校平均
全体 536 200 523 2.6
大学
種別
国立 76 29 55 1.9
公立 61 12 30 2.5
私立 399 159 438 2.8

大学の科目数の分布を見ると(図表9)、全体の41.5%(83 校/200 校)が起業家教育の科目は一講座と回答している。また国立、私立、公立の分布を見てみると私立大学が最も一校平均の科目数が多い。大学院の科目数の分布を見ると(図表10)、全体の41.2%(52 校/126 校)が一講座と回答しているが、大学に比べて、分布を見ると科目数の多いコースもあることがわかる。また、国立・公立・私立の内訳を見ると、国立と私立の科目数が比較的多い。

【図表10】科目数の内訳(大学院)<N=405>(単位:科目)enq_07

大学院講座 有効回答数 講座設置校 講座数 1校平均
全体 536 126 405 3.2
大学
種別
国立 76 46 158 2.4
公立 61 9 21 2.3
私立 399 71 226 3.2

7.科目の内容

学部で設定されている科目の3.3%が大学院生も受講可能、大学院で設定されている科目の4.9%が学部生も受講可能であった。また、学部では全体の約4 割が、大学院では約3 割が複数学部で受講可能であった。

【図表11】複数学部での受講可否enq_08

後述するように大学の授業では26.4%が外部講師を活用しているが、外部講師の総数はのべ423 名、大学院では27.8%が外部講師を活用しているが、外部講師の総数はのべ215 名に上った。

【図表12】外部講師の総数(のべ)enq_09

主なゲストとしては、創業社長、その他の企業経営者、コンサルタント(人事、財務、マーケティング)、行政機関支援担当者等が多かった。

<学部科目の内容>
授業形式は、学部の場合、所属する大学の教員が通常の講義を行う場合が最も多かったが、大学教員以外の講師が講義を行う科目も26.4%に上った。

【図表13】授業形式(学部)<N=523>(単位:科目)enq_10

また、受講生によるプレゼンテーションやグループ演習を「学生参加実践型授業」として位置づけた場合、学部の場合は19.1%(100科目)該当した。

【図表14】「学生参加実践型授業」の割合(学部)enq_11

起業家教育の内容にいては(図表15)の通り。理論を講じる授業、ケーススタディについでビジネスプラン作成法を教えたり、実際に作らせたりする授業が多い。

【図表15】起業家教育の内容(学部)<N=523>enq_12

<大学院科目の内容>
授業形式は、大学院の場合も、所属する大学の教員が通常の講義を行う場合が最も多かったが、大学教員以外の講師が講義を行う場合も27.8%(図表16)に上った。

【図表16】授業形式(大学院)<N=405>(単位:科目)enq_131

また「学生参加実践型授業」については、大学院の場合は28.9%(117科目)が該当した。実践型授業は大学院の方が充実している。

【図表17】「学生参加実践型授業」の割合(大学院)enq_14

授業内容については学部と比較して、大学院特有の特徴といえる程の差異は見られなかった。学部と大学院においては求められるものが違うことから、それぞれに相応しい授業内容を開発することが今後重要な課題となってくるだろう(図表18)。

【図表18】授業内容(大学院)<N=405>(単位:科目)enq_15

【図表19】起業家教育を行っているコース・専攻のリスト
起業家教育を行っているコース・専攻のリスト [125 KB]

【図表20】大学別起業家教育科目数リスト
大学別起業家教育科目数リスト [155 KB]